こりゃこりゃ。逃げるでない。 (((^o^;)スイセンのお勉強

誰か人を好きになったら、その人の名前はもちろんのこと、お家はどこか、趣味は何だとか・・・いろんなことを知りたくなるものです。花に関してもその辺は同じのようでして、園芸植物なら、育て方はもちろん数ある品種の名前も覚えてみようか・・・という気分になります。
スイセンは黄色から白までの狭い範囲に花の色が集中しています。従って、遠めには皆、同じように見えますが、ぐっと近づき屈みこんで俯き加減の花をちょろっと擡げてみましょう。すると、ラッパ(カップ)の色や形、長短に違いがあることに気付きます。また最近はピンクや赤のカップを持つ品種や豪華な八重咲きも多く見かけるようになりました。かと思うと野草のように楚々とした小さな花や素敵な香りを持つ種類もあります。
スイセンの園芸品種ですが、その数はむちゃくちゃ多いです。スイセンの本場、英国のRHS(英国王立園芸協会)には、な(^o^;)なんと一万数千品種も登録されていると聞きます。そ(^^;)それを全部、覚えることは常人にはまず無理だと思われますが、自分の庭に植えたお気に入りの品種くらいはちゃんとした名前で呼んであげたいものです。品種名には、作者の思い入れのようなものが感じられます。またそれを知ることにより、貴方自身のスイセンへの思いもより深まることは間違いありません。

名前を覚える前に、スイセンの分類方法を知っておきましょう。
RHSでは、下の表のように12のタイプに区分しているそうです。この区分は必ずしも学問的な分類ではありませんが、膨大な数のスイセン園芸品種をその成り立ちから理解する上ではわかりやすいように感じます。

区分
NO
.
タイプ 特徴 代表品種
(※私が栽培したことがあるもの)
ラッパスイセン
マウントフット1茎1花で、副冠(ラッパ)の長さが花弁と同じか、それ以上のもの。
Narcissus
pseudnarcissus
の仲間(亜種・変種)をベースに作出されたとのこと。
エクセプション  1Y−Y
キングアルフレッド 1Y−Y
フォーサイト 1W−Y
マウントフット 1W-W
大杯スイセン
アイスフォーリス1茎1花で、副冠(ラッパと言うよりもカップ)の長さが花弁の三分の一以上。ただし花弁の長さは超えない。 アイスフォーリス 2W−W
ガーデンジャイアント
 2Y−YYR
キャメロット
 2Y−Y
サロメ  2W−PPW
セルマラゲロフ 2W−YYO
チンカー 2Y−O
ピンクチャーム 2W−WWP
フォーチュン 2Y−O
ロマンス
 2W−P 
小杯スイセン
1茎1花で、副冠(ラッパと言うよりもカップ)の長さが花弁の三分の一以下。 エドナール 3W−OOR
八重咲きスイセン
タヒチ アクロポリス 4W−R
ゲイチャレンジャー 4W−O?
タヒチ
  4Y−R
ダブルファッション 4Y−O
チャーフルネス 4W−W?
フォンシオン 4Y−Y
ホワイトライオン  4W−WYY
リップバンウィンクル 4Y−Y?
トリアンドルス系交配品種
1茎多花で、下向きの小さな花をつけるトリアンドルス Narcissus triandrus という原種を交配親にしたもの。
雫水仙とも呼ばれる。
アイスウイング 5W−W
タリア
 5W−W
ハウエラ
 5Y−Y
キクラミネウス系交配品種
ジェットファイヤー原種Narcissus cyclamineus を交配親に用いたもの。1茎1花で、花弁が反転するのが特徴。 ジェニー  6W−W
ジャックスナイプ
 6W−W
ジェットファイヤー
 6Y−O
テイタテイト
 6Y−O
ジョンキル系交配品種
ジョンキラ原種キズイセン(イトバスイセン) Narcissus jonquilla を交配親に用いたもの。香りがあるのが、特徴。 ウォーターペリー 7W−YP
スージー
 7Y−O
スイートネス 7Y−Y
デックシセル 7Y−W
ピピット 7YW−W
ベビームーン 7Y−Y
タゼッタ系交配品種
房咲き水仙とも呼ばれ、ニホンスイセン Narcissus tazetta が含まれる。 ガリル 8W−W
ミノウ
 8Y−W
ポエティクス系交配品種
副冠の縁が赤くなったもの。口紅水仙とも呼ばれる。 アクタエア 9W−YYR 
10 原種、野生変異種、
野生交配種
Narcissus bulbocodium
Narcissus cantabricus など
11 スプリットコロナ園芸品種 大杯スイセンに属しますが、副冠が深く裂け、花弁のようになったもの。バタフライ水仙とも呼ばれる。 オランジェリー 11W−OY
パルマレス
 11W−P
12 いずれにも属さないもの

ジェットファイヤー 6Y−Oさて、上表の代表品種のところには、例えば「セルマラゲロフ 2W−YYO」のように、数字とアルファベットもふっています。
これは最近、米国で用いられるようになったスイセンの表記方法だそうです。
数字は上表の区分NO.です。続くアルファベットは花弁の色(右のA、品種によっては、Aを更に二分するケースもあります。例:ピピット 7YW−W)を示し、を挟んで副冠の色が続きます。副冠の色が単色なら、1文字で終わりですが、付け根の辺り(右のB)と中ほど(右のC)、縁の辺り(右のD)が微妙に違う場合は、3文字の表記になります。使う文字記号は、白、Y黄、Pピンク、Oオレンジ、Rを意味します。


スイセンの交配育種は比較的簡単に出来ると聞きます。欧米では(最近では日本も)、プロアマ問わず、新品種の作成がさかんであります。となると・・・(^^;)今後はこの区分や表記方法でも表現できない品種も出て来るかもしれませんが、まずは・・・これらの区分方法をマスターしてみましょう。


スイセンは有毒植物です。中央のチューリップはピューリッシマ。廻りのスイセンの品種名は不明。

同じ科のヒガンバナ同様、リコリンをはじめとした有毒成分を含んでいます。
リコリンは下の★書籍によると、致死量は約10g、中毒症状として、嘔吐、悪心、腹痛、下痢、脱水症状を引き起こす。これが原因で死にいたることもあるとか。有毒成分は主に球根に含まれると言われるが、葉や花にも無いとは言い切れない。現にニラと間違えてその葉を食した人が猛烈な嘔吐を催したとの報告もあります。

しかし、この毒性、使いようによっては・・・

ジャンゴに行くと、スイセンが行列になって咲き乱れる光景をよく目にします(参考→春ジャンゴ
当初、私は「こりこそジャンゴの春の風物詩なり!」と単純に感動しておりましたが、そうなったのには実は理由があったのです。
多くの場合、そもそもはじめはチューリップもスイセンと同じように並べて植えられたそうです。
ところが、チューリップの球根はいつのまにかネズミの食害で減ってしまい、スイセンだけが残って増えた。その結果が上の春ジャンゴなのです。
ネズミがスイセンを嫌った理由はその毒成分のようです。
「チューリップがうちの屋敷には懐かなくて・・・トホホ(i_i)」とその食害に手を焼いている実家のアバにそのことを話したところ、早速、ある植え方を実践していました(右写真参照)
それはチューリップをスイセンで厚く囲むのです。この方法を用いれば、畑に植えっぱなしでもチューリップを毎年愉しめるとのこと。
スイセンの毒を巧みに利用した庭づくりのひとつと言えましょう。とは言っても、まだ二三年程度の話です。そのうちネズミが利口になればスイセンの毒垣を飛び越えて侵入し、盗み喰いされるかもしれません。その時はその時でまた別な手を考えましょう。



本頁を作成するにあたっては、上住泰氏の園芸雑誌記事、球根植物(ガーデンライフ編、誠文堂新光社・発行)の小森谷慧氏、岩井英明氏、平尾秀一氏の解説記事、並びに小山氏スイセン花図鑑、★奥井真司氏の著書(データーハウス発行、毒草大百科)などを参考にさせて頂きました。この場を借りて、先達各位に御礼を申し上げます。


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(本頁は2004/03/27にアップしました。)